「えっ、いけなかったんですか?」
皆さんは、テレビから離れれば離れるほどいいと思っていませんでしたか?
今回は、この誤解の真相に迫ってみたいと思います。
1. テレビからどれくらい離れていますか?
近視お悩み相談には、連日たくさんの相談が寄せられます。
相談の中で、普段の生活の様子をよくお聞きしますが、
そのやりとりの中で、ある共通点があることに気がつきました。
以下、再現します。
私:「普段、お子さんは眼を細める事はありますか?」
お母さん:『最近、眼を細めるようになりました』
私:「どんな時に眼を細めますか?」
お母さん:『テレビを見るときに、ときどき細めています。』
私:「そうですか。ちなみに、どれくらいテレビから離れていますか?」
お母さん:『テレビは3メートルは離れて見させています。』
ここで気づくのが
『テレビは離して見せています!』と自信を持っておっしゃられている点です。
2.ここで疑問が…
あれ、テレビは遠くから見せた方がいいんじゃないの???
こんな風に思われた方も多いと思います。
- 眼を細めるクセが出ようが、出来るだけ遠くから見る。
- 眼を細めなくて済む範囲まで近づいて見る。
一体どちらがいいんでしょうか?
眼育(めいく)総研では、
『眼を細めなくて済む範囲まで近づいて見る。』
ことをお勧めしています。
3. 目を細めるとナゼいけないの?
眼を細めるという事はカメラの構造でいうと、レンズを『絞る』ことに相当します。
カメラは、撮りたい物とその後ろの背景まで写り込ませたい場合、レンズを『絞り』ます。
逆に、撮りたい物にだけピントを合わせ、背景をぼかしたい場合は、
『絞り』を開きます。
眼を細めると、なぜ少し遠くの物が見えるようになるかというと、
レンズを『絞る』ことにより、ピントの合う範囲を遠くに拡げているのです。
では、ナゼそれがいけないのでしょうか?
眼の本来のメカニズムは、
近くを見る時は、筋肉を収縮させ調節をします。
遠くを見る時は、筋肉を緩ませリラックスした状態になります。
眼を細めるということは、眼の周りに力が入ることになります。
【遠くを見る時にも力を入れる】
それは、本来の眼の使い方とは、まったく逆の使い方です。
眼を細める事で確かにピントは合いやすくなります。
ですが、遠くを見る時に力が入ることがクセになりやすいのです。
4.眼の使い方の悪循環
そうすると…
『近視が進行してきた』
↓
『慌ててテレビを離れて見せる』
↓
『よく見えない』
↓
『眼を細めて見ようとする』(多少ピントの合う距離がのびる)
↓
『眼を細めることがクセになる』
↓
『本来の眼の使い方がますますできなくなる』
↓
『さらに近視が進行しやすくなる』
という悪循環が起こりやすくなります。
「眼の筋肉をリラックスさせることで、遠くが見える。」
という本来持っている感覚を失ってしまいやすいのです。
5.条件付きの話
多くの方が、テレビは離れて見せたほうが眼に良いとお思いだと思います。
しかし、それにはある条件があります。
それは、視力低下が始まる前の、視力が良い方の場合です。
視力の良い方であれば、遠くを見るときの眼の使い方が良いため、
『距離を取る』ことで、近視を予防する事が出来ます。
ですが、近視が進行している方には、必ずしも当てはまらないのです。
6.では、どうすればいいの?
では、どうすれば良いのでしょうか? それは、無理を止めることです。
テレビからの距離は、
『お子様が“リラックス”して、ピントの合わせられる範囲内』である必要があります。
リラックスしてピントの合わせられる所って???
という方は、以下のような実験をしてみてください。
- 壁に紙を貼り、その紙に書かれた文字がふつうに読める位置に立ちます。
- その位置から、少しずつ後ろへ下がっていきます。
- ピントが合わなくなり始める距離を測ります。
感覚の鋭い方は、初めのうちはピントを合わせようと動いていた眼の筋肉が、
ある距離を境に動かなくなるのが分かると思います。
この時、ピントが合わせられるギリギリの距離が、
眼の負担を軽くできる距離であり、各々にあった「遠く」なのです。
また、各々にあった「遠く」を『最大明視距離(めいしきょり)』といいます。
また、同時にテレビは長時間見続けない方が良いことは、言うまでもありません。
ハーフタイムで近視の進行を防ぎましょう。
7.まとめ
テレビは、むやみに離せば良いというものではありません。
リラックスして見える範囲の中で、一番遠い距離で見せてあげましょう。
眼を細めているのは、危険のサイン! 近視がかなり進行しているかも?
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8.編集後記
先日、久しぶりに美術館に行く機会がありました。
今、渋谷で『エッシャー』という人の版画の作品展が開かれています。
メビウスの輪などでよく知られた人です。
私は、以前にも別の展示場で公開されているのを見に行った事があります。
『だまし絵』と言うのでしょうか、水や階段の行方を追っていくと下りていたものが
いつのまにか上っていたり永遠に続く絵がとても不思議な版画です。
面白いので、お子さまにもお勧めです。
眼育総研事務局